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【日米比較】シンプルなWebデザインが日本で機能しない理由—アメリカ在住マーケターが気づいたWebサイトとSNSの役割分担


Webサイトの構成を考えるには国ごとのマインドセットの違いが重要

現代の生活に切っても切れないもの。そのひとつがWebサイトです。

渡米してからももちろんWeb検索は日常的に行います。そして、アメリカに来て最初に戸惑ったことのひとつが、Webサイトの情報量の少なさでした。

例えば、地元の動物園に行こうとして、スマホで調べた時、開いたサイトのメニューはシンプルで、各ページを開いても情報がとても少なかったんです。

最初は「更新できていないのかな」と思いました。でも他の動物園を調べても同じ。ショッピングモールも、図書館も、地域のイベントサイトも、どこも日本と比べると情報がちょっと足りないように感じる。

でもこれ、手抜きじゃなくて、アメリカでは「そういう設計」なんです。

The World Animal Park(アメリカ・ニューヨーク州)のウェブサイトのスクリーンショット

The World Animal Park(アメリカ・ニューヨーク州)シンプルなUI・構成でメニューも厳選されている

WebサイトとSNSの役割が、はっきり分かれている

アメリカでは、Webサイトは「存在の証明と基本情報の置き場」です。施設概要、料金、アクセス。変わらない情報だけを置いています。

では、イベント情報や最新のお知らせはどこにあるかというと、InstagramやFacebookでのSNSで告知が一般的です。

例えば、4月に恒例のイースターのエッグハントを探したとき、Google検索ではイベントのインフォメーションが出てこない。でも、Facebookのイベントでは数え切れないほどある。「動きのある情報はSNSが担う」という前提がユーザーの中にあるのです。

日本はその逆で、Webサイトにすべてを集約する文化。

バリアフリー情報、園内マップ、年間スケジュール、よくある質問まで、「来場前の不安をWebサイトで全部解消する」という設計思想です。

どちらが正しいというわけではなく、ユーザーの行動習慣に合わせた日米の設計の違いなのです。

恩賜上野公園(日本・台東区)のウェブサイトのスクリーンショット
恩賜上野公園(日本・台東区):Webサイト上に来場者が必要な情報が網羅されている

「シンプルなWebデザイン」を真似するときの注意点

日本でも「アメリカ風のシンプルなWebデザイン」が人気です。

シンプルで分かりやすいし、見た目はおしゃれだし、スッキリしていて好きな人も多いと思います。

ただ、「アメリカのシンプルなWebサイト」が機能するのは、SNSが情報の受け皿として成立しているからです。サイトに情報がなくても、SNSをフォローすれば追いかけられる、という前提があるから成り立っていることを忘れてはいけません。

日本のユーザーはその前提を持たずにWebサイトが普及していきました。

そのため、シンプルなWebサイトを開いて情報が少ないと、「ここ、大丈夫かな」と不安になるのです。これはデザインの問題ではなく、情報設計の問題です。

そのため、シンプルにすること自体は問題ありませんが、何を削るかの判断がとても重要になるケースが少なくありません。

移行するときに意識すること

日本市場でシンプルなUIに移行するなら、削る前に一度考えてみてください。

  • Webサイトをシンプルにしたい理由は何か?

  • 削った情報はどこで補完するのか?

  • WebサイトとSNSで機能を分けた場合、更新頻度は保てるか?

Webサイトをシンプルにしたい理由が、「その方がスッキリして格好いいから」「見やすいと思うなら」であれば、「Webサイトの閲覧者もそう思っているのか」を疑うことも重要です。今のWebサイトの構造だからこそ、情報が網羅され閲覧者が安心感を持って利用している可能性もあります。

また、シンプルなWebサイトにするために、情報を削った場合の保管方法についても事前に計画しておくことが非常に重要です。

削ったその内容は、本当に不要なものなのか、削る前に一度疑ってみてください。必要な情報だった場合はSNSで補う、Webページ内に新しいページを作成し分かりやすく表示する、などを行うことが必要です。

また、SEOの観点からWebサイトをSNSと完全に切り離してしまうと、サイトの更新頻度が下がり、検索エンジンからの評価も上がりにくくなってしまいます。

対策としては、SNSの投稿をWebサイト上にも表示させる連動設定がおすすめです。WixWordPressなど、多くのサイト制作ツールでオプション機能として実装できるため、運用ルールや事前設定を決めておく必要もあります。

この通り、UIは文化の鏡です。

デザインを変えるときは、その背景にある「情報をどこに置くか」という設計思想ごと変える必要があります。見た目だけを輸入すると、ユーザーにとって使いにくいUIができあがります。

海外に出てみると、「日本では当たり前」だと思っていたことが、実はかなり作り込まれた設計だったと気づきます。動物園のWebサイトひとつとっても、これだけ違います。

海外のWebサイトのようにWebサイトをすっきり見せたい

私もクライアントからそのような要望を受けることは多々あります。しかし、その時に立ち止まって欲しいのです。

そのWebサイトは誰のために存在するのか、何を伝えたいのか、目的は何か

もしかしたら、UIを改善するよりも情報の置き方(Webサイトの構造)のほうが重要かもしれません。

フォントに適切な見出し・文章構造のメリハリをつけるだけで伝わりやすくSEO効果も上がるかもしれません。

実はこれ、Webサイトリニューアルの相談でよく出てくる話です。気になった方はこちらからご連絡ください。

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